2010年12月18日土曜日

OS_#3『てん』///開かれたままの終わり///   ドキュメント2

ARCUS Project 2010 IBARAKI
Open Studio_#3"TEN"///OPEN - END///
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Murarl Painting in Moriya city by Jason Kofke


わくわく自転車ツアーでも巡った、守谷市内の歩道橋にはさまざまな通信機器の絵が描かれているのをお気づきですか?
この秋から冬にかけて、ジェイソンは街の中を繋げる「北守谷遊歩道」と、街で一番混み合うジョイフル本田へ続く道と交差する、幸せの路にある「幸福橋」、守谷市と取手市を結ぶ「乙子公園トンネル」に壁画を描きました。



コンクリートに絵を描く為には下地を塗る準備だけでなく、描かれた後のコーティング作業まで工程があります。実は本人だけでは成し得ないプロの塗装業者さんとの恊働作業だったりするのです。


市役所より地域に回覧板が回されたのをご存知でしょうか?
公共施設には沢山の方々が関わっています。公共にグラフィティを描くという迷惑行為は内容により賛否両論あります。その誤解されがちな「行為」に近い作業は、ご近所から不審に思われたりもするのでした。

ゆえに付き添いスタッフは何度か警察に職質を受けることも。
下書きをする際、OHPを使用するためには夕暮れ時から夜間にのみ可能な作業だったからです。


そうして寒い夜も、雨の日も、通い続けて描き上げた壁画にはそれぞれストーリーがあります。


松前台は自転車ツアーの記事でもあったように、通信衛星とそれを介して見られるようになったテレビやコンピューターを題材にしています。来年から始まる地上波デジタル放送も、人工衛星があって初めて、見られるのです。


高速バスで東京へ戻るサラリーマンも興味津々。

(写真:馬淵 徹)


薬師台には、見るものと撮るもの。テレビとカメラです。古いものを取り上げることで、大人も子供も懐かしむ気持ちとまだ観たことのない気持ちが交差する、会話の交差点となるように選んだ題材です。



反対側の御所ケ丘には、大きいものを見るものと小さなものを見るもの。望遠鏡と顕微鏡。
これによってより遠くのもの、より小さなものの情報を得ることが出来ます。


けやき台中学校となりの幸福橋には通信を受信するもの。パラボラアンテナです。これがないと人工衛星から送信された情報を受信交換できません。



そして、乙子公園のトンネルには通信と移動器機の進化を表すもの。東(取手市戸頭側)から西(守谷/乙子公園側)に向かって、日本最初の国産機、YS-11が飛び立ち、技術発達によって大きな旅客機ができ、地球から通信衛星/人工衛星の飛び交う宇宙へと進化していく天井画になっています。トンネルに夕日が射すとまた明日(=未来)がやってくる、方位も意識して描かれています。






いずれもが、その時代によって視覚的に代々必要とされてきたコミュニケーションツールであることを表しています。そしてまだ使えるけれども現代の技術の進化によって使われなくなってきたものでもあります。この機器に慣れ親しんだ世代の人が、今まで見たこともない古い機器として見る子供たちと会話するきっかけになるように、それぞれを歩道橋や橋に描くことによって『コミュニケーションの架け橋』となるように考えられたプロジェクトです。



制作中のジェイソンに声をかける市民の人々がたくさんいました。
自治会の方から直々に御礼を言われたり、差入れを持って来てくださる方もいたり、話しかけてくる小学生から日本語を教えてもらったそうです。


スタジオでこつこつ作業をするのも有益ですが、アーティストが街に飛び出して何かアクションを起こすのもリアルな反応が返って来て、興味深い交流を深められたようです。

コーティング作業の最終日、ニッカー絵具株式会社の皆さんと記念撮影。
ニッカーさんの技術の賜物である絵具と、プロフェッショナルな絵を守る技と、アーティストを支援して下さる粋な心意気に、ジェイソンも大満足でした。

ジェイソンの壁画のある場所は2月に開催される守谷ハーフマラソンのルート上でも発見できます。
どうぞ、街中をジョギング/サイクリングしながら壁画を巡ってみてくださいね。


(text/photo:m.i.)

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